古代倭王の正体 / 小林惠子

古代倭王の正体 海を越えてきた覇王たちの興亡 (祥伝社新書)

古代倭王の正体 海を越えてきた覇王たちの興亡 (祥伝社新書)

 古代は一般的に想像されているよりもはるかに東アジアの交流があった話は知っているが、日本書紀の7割が朝鮮半島のことだとか、朝鮮半島の歴史書に倭の話がたくさん出てくるだとかは知らなかった。

 とはいえ、なんか詠むのがしんどい本だった。「○○には××と書いてある。これは△△の□□と符合するので、両者は同一人物である」というような説明じゃないので、どこまでが記述で、どこからがほぼ断定できる話で、どの部分が想像・仮定なのかがわかりにくい。終盤に「私見では」という表現が何度か登場するが「ええ、これまでのほとんどすべてが私見ちゃうの?」とツッコミ入れてしまった。

 日本列島から朝鮮半島に行って支配者になったり、あるいはその逆というのがそう簡単にできるんだろうかというのが大きな疑問。同じ一族の後継者ということならありえるが、あるいは一時的な略奪的支配ならありえるだろうけど、別の民族・部族の一族郎党が渡ってきて支配するってのはそう簡単ではないと思うんだが。

 地名や人名、部族名の読みが現代のものを採用していたり当時のものを採用していたりでちぐはぐなような気がした。あと、普段使わない漢字が多く使われているのも読みにくさに拍車をかけている。