トランプ当選は第二次世界大戦の終わり

 トランプ勝利に限らず、イギリスのEU離脱が決まったり、フランスやドイツで極右政党が伸びたりといった現象が続いている。世間的には右傾とか、アンチグローバリズムとか、ナショナリズムとか、貧困・格差拡大とかが言われている。私が感じるのは、自由だとか平等だとか反差別だとか平和だとか民主主義だとか、そういう高邁な価値観のうさんくささ、現実解決力の低さに人々が気が付き始めたということじゃないかということ。

 第一次世界大戦同様、第二次世界大戦も遅れてきた帝国主義的国家が先行していた帝国主義国家に挑んで敗れたもの。第二次世界大戦において、連合国側は国家単位の利益ではなく、ナチスの悪行を足がかりにして、過去の自分たちの行いは棚に上げて悪に対する正義の戦いという構図を作った。その時の正義の証拠、旗印が自由とか平等とか反差別とか平和とか民主主義とか。それは戦後も、主にアメリカの支配を正当化するために、アメリカ自身はもちろん、同盟的関係にある国家でも広く建前として共有され、維持されてきた。黒人であるオバマの大統領就任を経て、女性であるヒラリー・クリントンの当選でその価値観が完成形になるはずだった。
 だが、そういった価値観の上に情報技術や輸送技術の発達が加わると、必然的にモノやカネやヒトの移動が盛んになり、移民問題とか、それに伴う失業問題とか、社会福祉問題とかが出てきて、各国民がその価値観自体を疑い、投票結果に現れるようになったのが昨今の動き。

 となると、次は連合国改め国際連合(日本名が変わっただけで、英語はずっとUnited Nations)についてもこれから地位低下は必至。

 日本で自民党が圧倒的勢力を持っているのは、どっちかといういと他の選択肢が乏しいことによるもので、価値観のレベルまで国民は意識して投票してはいないと思う。ただ「日本は悪いことをしました。反省して世界の平和と反映のために尽くします」という、日本国憲法の文面通りの考え(=戦勝国側の終戦当時の期待)に対する懐疑はすでに多数派なんじゃないかと感じる。

 トランプ大統領については、モノとヒトの国境越えを制限しようとしているけど、カネの動きを制限する政策は今のところ聞こえてこない。でもカネが越えている限り、他の2要素の越境を防ぐのは昔くなるんじゃなかろうか。かといって、カネの越境を制限するのは難しい。そのあたりのバランスのとり方次第で早く破綻するかもしれないし、2期目があるかもしれない。